地下室の手記

獄中日記

地下室の手記 13枚目

「開錠!」

 

威勢のいい掛け声で扉が開く。警察官が手錠を持って立っていた。

 

「取り調べするから」

 

昨日深夜まで及んだ取り調べというものは、精々私の身の上を語っているに過ぎず、事件そのものの細かい話はしていなかった。私が留置場で生活する上で、徐々に取り調べにて事件を明らかにしていくつもりらしい。

 

私は扉を出てベストを着せられ、手錠を掛けられた。手錠を掛ける際、見るからに不慣れな警察官が私の腕の肉を同時に巻き込んだ。大して謝りもせず掛け直した。手錠を掛けられるのは私の気を重くさせた。

 

手錠をした後はベストと手錠を紐で通した。犬のリードの役目をしている。

 

隣の部屋へ移る。移動する際鍵を開けて扉を開けるが、鍵を開けるところは見ないようにと言われた。これは通常の檻に入る時も同様であり、少しでも鍵の仕組みや回す方向などを知られないようにするためであろう。

 

取り調べは留置場の世話役の人では無く、別の人に代わった。

 

逮捕された直後に取り調べをした部屋ではないが、作りは同様の小さい部屋に連れられ、手錠を外される。

 

外した手錠は椅子につけられる。ベストと手錠が紐で繋がっているため、逃げ出すことはできない。

 

「始めようか」

 

30代くらいの警察官がそう切り出した。