地下室の手記

獄中日記

地下室の手記 12枚目

「じゃあ、部屋を変わろうか」

 

再び眼鏡の警察官に言われた。

この4畳の狭苦しい部屋が自分に充てられた部屋だと思っていた。

あまり名残惜しくも無いが、一々毛布を持って移動するのも面倒だった。

 

 

新しい部屋は6号室で3人部屋だった。3人になったからと言ってその分部屋が広くなる訳でもなく、精々5畳と少しだった。

 

部屋の奥に座っているのが30~40代くらいの人で、雰囲気でこういう生活が長いのが感じられた。ここでの生活を熟知しているような素振りで筋トレをしていた。

 

もう一人は比較的年齢が上の方で、60代くらいに見られた。私が入って来た時「こんにちは」と声をかけた。私も適当に返事し、入口に最も近い場所に座った。

 

一人部屋は気楽で良かったが、3人一緒になってより不安が強くなってきた。彼らがどの様な罪を犯してここにいるのかは分からないが、暴力的な事件だった可能性もあったからだ。

 

ただ、世間一般から見たら私も彼らと同じなのだろう。

私は2つの人型の鏡を見ながら自らが堕ちたのだと悟った。