地下室の手記

獄中日記

地下室の手記 8枚目

「今日は風呂の日だから」

そう警察官が言った。「今日は」という言葉で察するものがあった。

 

この留置場では月曜日と金曜日に風呂に入ることが出来る。私が逮捕されたのは月曜日だったため、初日に入ることができた。

 

自分のタオルと、洗顔の時に使った石鹸を持って風呂に入る。

シャンプーはリンスが入っているものが渡されたが、いつもシャンプーとコンディショナーを別々に使っていた私には物足りなかった。

 

時間は15分と決まっている。浴槽に浸かる時間は殆ど無さそうだ。

折角の風呂だというのに忙しない。加えて浴槽の扉の先には警察官が見張っているのだ。裸を見られてどうという事は無いが、落ち着いて湯を浴びることはできなかった。

 

浴槽の蛇口からは絶え間なくお湯が出ている。留置場にしては贅沢な使い方であるが、十何人もの人が同じ風呂に入るとなると、常にお湯をためようとしなければ無くなってしまう。

 

シャワーを使って体を流す。が、お湯が出ない。

仕方なく湯舟を溜めるために使われている方のお湯を止めてもう一度シャワーの蛇口を捻る。今度はお湯がしっかり出てきた。

 

シャワーはヘッドが天井に固定されているもので、体の隅々まで洗い流すことが出来ない。衛生的にはこちらの方がいいかもしれないが。

 

10分くらいで髪と体を洗う。足元の方は上手く流せないが、そのまま湯舟に使った。このための湯舟だったのだろうか。

 

15分で着替えまで済ませる必要があるため急いで出る。

着替える下着は無いため、留置場で貸し出してある下着を使った。

 

私にとっては毎日の風呂の延長であるためいつもと変わらないのであるが、これから3日間風呂に入ることができないと思うと憂鬱であった。