地下室の手記

獄中日記

地下室の手記 3枚目

警察署に着くと取り調べが始まった。

眼鏡をかけた男性で、私の中学の時の友達に似ていた。高圧的な態度は無く、私も普通に受け答えすることができた。

 

予め黙秘権についての説明があり、答えたくない質問は答えなくて良いという話をされた。これは今後の取り調べで毎回言われることだった。

 

自分の名前、年齢、住所…。

 

その後、

 

「何か勲章とか受賞してますか」

 

と聞かれた。

 

「あ、やっぱりそういうこと聞かれるんですね」

 

などと世の中を皮肉った振りをした。

 

 

昨今の出来事として池袋で勲章持ちの上級国民が事故を起こしたものの、その一連の流れや報道が一般市民と対応が違うことで物議を醸しているのは記憶に新しい。

 

それにしても、住所の後に聞くほどの優先順位だったとは知らなかった。

私が勲章を持っていたら、その後の取り調べから態度が変わっていたのだろうか。

 

ただ単に勲章を剥奪する可能性があるから訊いているという意見もあるし、私も実際の警察事情を知らないので詳しいことは分からないが、昨今の事件の容疑者が通常と扱いが違うこと自体は事実である。

 

 

というか、その幼馴染に似通った警察官自身が言っていた。

 

「勲章とか持ってたらちょっと変わるらしいよ」

 

 

そういうことだそうだ。

池袋での渦中の人物は、ちょっと対応が変わった様で、未だに逮捕されていない。